摂食機能療法
食べることに問題のある状態を摂食・嚥下障害(せっしょく・えんげしょうがい)と言います。
摂食・嚥下障害は、腫瘍や炎症などにより舌やのどの構造に異常があって起こる器質的障害と、舌やのどを動かす神経や筋肉に異常があって起こる機能的障害とに分けられます。機能的障害は、脳卒中や頭部外傷などによる脳損傷、神経変性疾患、老化により引き起こされます。
評価
摂食・嚥下障害が疑われる患者様には、 言語聴覚士が摂食・嚥下機能の評価を行います。
また、必要に応じ、 医師による嚥下造影検査(VF) と嚥下内視鏡検査(VE) を行います。 VFとVE には看護師と言語聴覚士が立ち会い、より詳しい嚥下機能の分析を行います。
嚥下造影検査(VF)
VFは飲み込みの機能を X 線透視して検査する方法です。 患者様に造影剤を混ぜた食べ物を食べていただきます。 食べ物を口に入れてから飲み込むまでの一連の流れを X 線透視して確認するこ とができます。
〈VF:検査イメージ〉
嚥下内視鏡検査(VE)
VEは飲み込みの機能を内視鏡で検査する方法です。 患者様に鼻から内視鏡を挿入した状態で、食べ物を食べていただきます。 食べ物や飲み物が上手く飲み込めたかを内視鏡の映像で観察します。のどの感覚や声帯の状態なども確認することができます。
〈VE:検査イメージ〉
言語聴覚士によるリハビリテーション
検査の結果から、安全に口から食べられる方法を検討します。実際に食事を食べられている方は、より安全な食事内容に変更したり、食べ方や姿勢などを指導・調整したりします。
飲み込む機能の改善のために食べ物を用いない基礎的な訓練も行います。 基礎的な訓練として干渉電流型低周波治療器ジェントルスティムの使用など、新しい治療方法も適応のある方に取り入れています。
〈嚥下訓練道具の例〉
〈ジェントルスティム〉
他職種との連携
体調の管理、ムセた時の咳の力、食べる時の姿勢、食事形態や必要栄養量の相談など、嚥下障害のリハビリテーションは他職種との連携が非常に重要です。 医師の指示のもとに、
看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士など多くの職種と連携しながら、患者様により安全で楽しい食事時間が提供できるよう最善を尽くしています。